一年に一度はカヌーがしたい。ふだんは足を使って森を散策しているけれど、水の流れを使って川を下るこのアクティビティは、違う感覚で森と接することができる。6月、いつものランドネ仲間に声をかけて、Loing川での川下りを企画した。集まった10人、5艘のカヌーでLoing川を下った。
チームに別れて出発。三者三様の船旅へ
昨年と同様、フィールドはLoing川。Fontainebleauの森の西側を流れセーヌ川に合流する。川幅が狭く水深も浅い。初心者にはこれくらいの川がちょうどよい。このLoing川を拠点にカヌーレンタル会社がいくつかある。今回はApikopaの午後にスタートする6kmのコースにした。
Gare de Lyon駅からR線に乗って、Montigny-sur-Loing駅で下車。ランデヴーポイントまで1時間ほどのハイキングで向かう。このエリアは、Loing 川を中心に池が点在しており、自然保護区にも指定されている。水路も伸びておりフランスの田舎らしい景色が気持ちがよい。ハイキングコースとしても面白い場所だ。
ランデヴーポイントに着くと、既に他のグループがブリーフィングを受けて出発していた。我々は10人と大所帯だったので、各々準備を済ませてからレクチャーを受けた。雨が降りがちな天気だったが、直射日光に晒されながらのカヌーも大変だ。気温もそこまで低くなかったし、カヌー日和だ。全員を見送った後に私もカヌーに乗って、出発した。
カヌーは水の上を滑るように流れていく。水の音や鳥の声が心地よく、リラックスさせてくれる。この感覚は水の上でしか味わえない。パドルの操作を思い出しつつ、先に出発した皆を追いかける。子どもを乗せた3人組は、カヌーの取り回しに苦労しているようで、大きくS字を描いて蛇行したり、岸の木々に突っ込んでいる。時々ぎゃーと悲鳴が聞こえてきた。
男女のペアに追いつくと、なぜか女性がずぶ濡れになっている。どうしたの? と尋ねると、太い木に突っ込んようで、逃げ場がなくそのまま川へ飛び込んだそうだ。「開始早々災難だなぁ」、と思いつつ、彼女がサッパリした顔をしていたので、笑ってしまった。
少しスピードを上げて先の二組を追いかける。先に見えてきたのは、昔同じ職場で働いていたという女性二人組。近づくと、当時の職場のお話だろうか。彼女の声が森に響き渡っている。カヌーが開放的にさせるのか、しばらく後ろの方で立ち聞きさせてもらった。
先頭の二人組は不思議な相性のよさを発揮しており、後ろ姿だけ見えたが、とても追いつけない。すいすいと先へ進み、あっという間に見えなくなってしまった。
みんなの姿を写真と動画に収めたあとは、最後の3人組を待って、見守りながらのんびりと進んだ。到着地点のMoret-sur-Loingに入る直前に、一箇所スライダーがある。段差の間に魚道のような坂道がある作りになっているのだが、見通しが悪く謝って段差のほうから降りてしまいそうになる。実際に、先頭の二人はここから落ちてしまったようだ。私は、前の三人組が後ろ向きに流されていくのを見届けてから(悲鳴が聞こえた)侵入しスリルを楽しんだ。
晴れの日は大勢の観光客で賑わう水際の公園も、今日は人影がまばら。待ち構えているスタッフにカヌーを引き上げてもらい、久しぶりの水行を終えた。やはりカヌーはいい。Parisの周辺には、まだいくつかカヌーができる川がある。水の上のランドネも開拓していきたい。
フランスを中心にヨーロッパでのハイキング、トレイルランニングなどの外遊びにまつわる情報を伝えるサイトです。また、毎月パリ近郊でランドネイベントを企画・催行しています。