【ランドネツアー動画】早春のFontainebleauへ。10人と1匹のデイハイク。

 

「パリ近郊で一番好きな森は?」と聞かれたら、一番に答えるのがFontainebleauの森です。観光旅行ではFontainebleauといえばお城が思い浮かびますが、王侯貴族が遊んだ広大な森は、今では広大な遊び場として人々を魅了しています。季節ごとにいろいろな顔を見せてくれるので、自転車やハイキング、トレイルランニングの練習、そしてキノコ狩りにと、一年に何度か訪れる馴染みの森です。ランドネのツアーでも定番のコースで、春と秋に2回ほど企画しています。この記事は、3月のランドネツアーの様子を動画とテキストでお伝えします。

 集合は朝の9時。Gare de LyonからR線Montargis行きの列車に乗り込む。平日は郊外に住む人たちをパリへ送り込みこのR線は週末になると、我々と同じようにハイキングに出かけるグループや、自転車を持ち込むサイクリスト、また大きなクラッシュパッドを背負ったボルダーで混み合う。席を確保したのなら、行きの電車では近郊報告や“はじめまして”のご挨拶に花が咲く。駅で買ったコーヒーと朝食を片手に、到着まで静かに過ごすのもよい。それぞれの時間を過ごしながら、片道40分ほどでBois-le-Roiに到着する。

 日曜日の朝、Bois-le-Roi駅の前には市場が出ていてる。私はずっと探していた念願のきのこ狩り用のかごを買った。昨年見かけたきり、この業者にはずっと会えないでいたのだが、ようやく見つけることができた。なんでもVendage、つまりワイン用のブドウを摘むためのかごらしく、栗の木をつかっているそうだ。夏にはピクニックに、秋にはキノコや栗の収穫にと、今からこの籠を持って出かけるのが楽しみだ。各々身支度を済ませて、10時に駅を出てランドネがスタートした。

 駅から森までは、2kmほど平坦なアプローチを歩く。フォンテーヌブロー界隈は比較的豊かな地域で、瀟洒な一軒家が立ち並ぶ。国道を3つ超えるとRocher Canon駐車場につけば、隆起した奇岩郡が連なるLogues Valléesだ。この森にいくつかあるボルダリングスポットの一つで、外国からも岩を登りに多くのボルダーが集まる。ここまで来ると、駅からリードに繋がれていた看板犬のSweetyも解き放たれて、縦横無尽に森を駆け回る。ハイカーやボルダーに尻尾を振って愛嬌を振りまいてとても楽しそうだ。

奇岩群。奥にクラッシュパッドを敷いたボルダーが見える

 しばらくLongues Valléesのアップダウンを楽しんだら、進路を南にとる。10数メートルの登ると見晴らしの良い高台に出るのだ。ここはテラスのように迫り出していて、道もなだらかで歩きやすい。Longues Valléesのアップダウンでやや疲れが見えた参加者の方々にも会話が戻ってくる。ペースを合わせて歩いていると突如Sweetyが何かと黒い大きな動物と一緒に前を横切った。イノシシだ。それもとても大きい。彼女はしばらく追いかけてようだが、すぐに戻ってきた。彼女には大きすぎる獲物だったようだ。

浮石のある急勾配な斜面

 獲物といえば、参加者がワラビを見つけていた。昨年の春もこの時期にワラビをとって“たたき”にして食べたらとても美味しかったと話題になり、食いしん坊の方々が一所懸命ワラビを集めていた。

新緑には早いが、萌える若い緑が見える

12時前にランチポイントに到着した。ベンチがあって見晴らしよい。知っている人はみなここで昼食をとると分かっていたので、早めに場所を確保してお昼休憩を取ることにした。昼食は皆それぞれ。簡単なサンドウィッチで済ませる人もいれば、美味しそうな力作のお弁当を披露する方も。料理上手が多くこの日は、ふたりケーキを焼いてきて皆さんに振る舞っていただいた。参加者の皆さんがこうしてよい雰囲気を作ってくれるのは本当にありがたい。

森でのランチタイムはランドネの一番の楽しみ?

 昼食を終えたら高台を降りて、再び東西に伸びる低い尾根伝いに西へ歩く。入り組む岩を縫うように細い道を歩き、時には岩を乗り越えたり、くぐったり。コースにこうしたエキサイティングな要素を入れるのも、刺激があってよい。曇っていた空から日が差し込むと森がいっそう輝く。いつ来ても改めて美しいと思わせてくれる。

生い茂るシダと松の森、奇岩群がこの森の象徴的な景観

少し上って平坦な“頂上”についてひと休みしたら、そろそろ帰り支度だ。まっすぐ伸びるフラットな道を使って、Longues Valléesまで戻るのだ。

 午後の“おやつ休憩”もツアーの定番になってきた。ご好意でAmazakéYaさんが、毎回フランス産あまざけを用意してくださり、即席甘酒茶屋がオープンする。季節によってゆず味やイチゴ味などフレーバーが変わるので、参加者の皆さも楽しみにしている。ちょうど後半に差し掛かるところで、疲労回復にはうってつけの飲み物だ。

 行きと同様にLongues Valléesを降りると、フラットなアプローチを2kmほど歩いて、ほどよい疲労感を携えて森を抜ける。駅に着くとちょうど電車が到着した。時間はまだ15:00。急ぐ時間ではない。帰る人は電車に飛び乗り、次の電車を待つ人たちは、駅前のカフェで一息ついて、ランドネの余韻を味わった。